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ARA-ARA-PROJECT

2022.02.10

kapuwaがインドでものづくりをスタートして16年目。
元々インドに惹かれたのは、なんでも便利に簡潔に、無駄を省く日本から、全く違うインドへ初めて足を踏み入れた2008年のこと。

それはそれは、ゆっくり歩くインド人。ジャイプールには電車も走っていないから(今も変わらずw)電車に間に合わないと激走する人もいなければ、リクシャーのおじさんによっては、走り出すまでに何十分もお話ししてから、なんてことも。

約束をしても、その通りに相手が来る事は少ないから、あらかじめそれでもいいようにスケッチブックや本を持参して待ち合わせる。じぶんだって、牛(神様)の群れに出くわして、30分通行止めなんて事もよくあった。

お祭りがあれば正味3日と構えていても前後3日も暗黙の了解で含まれてお休みになったりもする。
強制されて作らされるものが固く冷たい印象を持つというのも,この国で知った。

だからこそ作る職人は伸び伸びと、自然や文化と共にあれと。朗らかな人たちが集まる工場を選んだ。

あとはものづくりをする会社が絶対抱える共通の悩みではあるんだけど、不良品と呼ばれてしまう子の存在。
商品一つ一つが、子供のように可愛くて愛おしいけど、少し色が飛んでしまっていたり、手織りなのに生地不良と言われてしまった商品がアトリエに長く保管されていく現実。
私からすると、手織りだもん。伝統技法だもん。インドの工場で号泣するほど感動しながらものづくりを始め、この技法に出会えた事も工場とものづくりを続けてこれた事も、全て「ここ」でなければダメだったからだから。

なんとも心を痛めておりました。何も不良ではないのに。。。むしろ結び目をみて、ゆっくり織られた本当に手織された勲章のようにも見えるのに。手作りとか、温もり感じるものをいいという反面、それでも傷のあるものを避ける現実。

日本の品質を理解してもらおうと、インドに行く時はいつもこのアトリエから表舞台に出られない子を、たくさん持っていって商品会議をする。
でも結果は、手作業だもん。と、日々ハンドブリントをしてたくさんの商品を作ってくれている彼らを前にすると。そうだよね。私はここの彼らが作り出す、手作業独特のこの風合いが好きなんだもん。日本に寄せてなんて言えない。とその商品たちは全て持ち帰ってくる。

だけど、せっかく作ってくれるのだから、意識一つで変わることもあると、毎回話し合いをしてはいました。

でも、服作るって大変なんですよ。一枚だけならまだしも。数百枚数千枚と。それを生地の糸を撚るところからハンドメイドで作るものもある。時間がかかってるんですもの。せっかく作ってくれたんですもの。そもそも半年以上前に、手書きで柄を書いて、色を決めて、ブロックプリントされたらどんな感じになるかと思いを巡らせて、私自身が一番その出来上がりを楽しみにしている商品たち。最後の一枚を見送る時の感謝といったら。

ずっと私だけはそう思って、まぁ、君たちはずっとうちにいていいよ。いつか何かの時に数年前のコレクションたちをお披露目できる日がくるかもしれないからね。綺麗に売り切ることが会社として本当にベストなの?残ってしまったものを捨ててまで?

そんな疑問がずっとあって。

正直にスタッフにそれを話たところ。みんなでチェックしてみようと、各お店の店長たちに表舞台に出れなかった子たちを見てもらいました。

「アラアラ…ほんの少し染料が飛んでしまってるだけなのに・・・・」
「アラアラ…結び目気になるけど・・・・これ手織りの生地だもんなぁ」

私の思いに共感してくれたスタッフが、このアラアラと避けられてしまう子も本当に着る分には問題ない子ばかりだし、逆に私はこういう子を迎えたいですーーーと発言してくれました。

お店で展開してみませんか?

そんな意見から始まったこのプロジェクト。

インドのカディ職人が切れた糸を「アラアラ…」と結び直してまた織り進める、優しく穏やかな時間を想像して、

kapuwaでも商品検品中に「アラアラ…」と避けられてしまった子をアラアラさんと呼び、ARA-ARA-PROJECTという取り組みを始める事になりました。

商品の展開範囲は今まで大切に保管されてきたアラアラさんたち。レアアイテムや、人気の柄も多数あります。
それぞれ、店頭で店舗スタッフが丁寧にアラアラポイントを説明したポップがついて店頭に並びます。

せっかく作ってくれたんだもん。直せない事を知っているのに、工場に送り返すなんてできない。インドで責任持って作ってくれた、大切な、伝統技法をぎゅっと詰め込んだ作品たちを、私たちは日本で責任をもってお客様に届けたい。

全店舗の店長たちの熱い思いで、すぐに形になりました。
会社が長く抱えてきた、問題をこんなプラスのプロジェクトに変えてくれたみんなありがとう。

この思いに賛同してくれるお客様へ、少し前のコレクションの子もおりますが、ご自宅にお迎えいただける子を探しにきてくださいね。そのアラアラさんが、もしかしたら人の人生を変える一枚になるかもしれない。特別価格にてお待ちしております。

保管されてきた子たちが、綺麗にアイロンをかけてもらって、可愛い店内に並ぶ姿を想像するだけで、涙がでてしまう。

これからも、リスクだなんて思わずに、どんどん新しい技法へ挑戦したい。インドに行ってもっともっと伝統技法と言われるものに出会い、今ぐっとくる!ものを彼らと作り続けたい。

kapuwaがこれからも前向きにものづくりをしていけるための、kapuwaらしいサスティナブルなプロジェクトです。

 

ARA-ARA-PROJECTは藤沢店、室町店、川越店、大阪店、今年はオンラインでもご覧いただけます。
スタッフみんなの願いでもあるkapuwaのアラアラさんを是非見にいらしていただけたら嬉しいです。

———SHOP INFO———-
藤沢店
神奈川県藤沢市南藤沢21−1 小田急湘南ゲート/2階
Tel:0466-52-5494 OPEN: 10am-8pm

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室町店
東京都中央区日本橋室町1−5−5 コレド室町3/3階
Tel:03-6265-1140 OPEN: 11am-8pm

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川越店
埼玉県川越市脇田町105アトレマルヒロ/2階
Tel:080-5899-1304 OPEN: 10am-9pm

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大阪梅田店

大阪府大阪市北区梅田1−13−13
阪神梅田本店7階
OPEN/10:00~20:00
TEL/06-6345-0240

 

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