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○アリ刺繍というインド伝統技法についてのお話

2022.09.23

こんにちは。デザイナーのAIKOです。今日は私からインドの刺繍のお話をさせていただきます。
インドって本当に素晴らしい国。
そこら辺に素晴らしい技法が当たり前の顔して、存在している。

初めてこのアリ刺繍に出会ったのはたぶん2010年くらい。工場にコルカタ出身の職人さんがいて、「彼はコルカタの人だから刺繍が得意なんだよ」ってサンプル作ってみたら?と勧められたことがきっかけだった。

インド=アナログ

そんなふうにまだ思っていた蒼き私のインド初期時代。
少しだけ上からの目線でインドを歩いて大失敗した経験もこの頃ですね。何も知らないって怖い。見ようとしないと見れないものがあって、それに気が付かないで過ごすことはあまりにも勿体無い。本当にそう思って、歩き方、人生の見方を変えた頃でした。
そうしたらインドに感動するものしかないことに気づき。技法だけではなく、インドの建築や文化にまで自分の探究心がモーレツに刺激され、そして自分のこの目で全てをみたいと思うようになった。それができるインドにどんどんのめり込んだのだと思います。

コルカタ出身だからって当たり前に刺繍ができるって本当?って思ったけど、私がジャイプールで出会った刺繍の職人さんはみんなコルカタ出身だった。いつかこの刺繍が一番有名なコルカタの村につれていってほしいとお願いするも、治安があまりよくないらしく、未だ未開拓の土地。聞いた話によると、大人も子供も布に群がって刺繍をしているらしい。小さな頃から家や工場で刺繍を刺す親の背中を見て育った子どもたちは、当たり前にそこへの興味が湧き、身近に触れることで自然と習得していくのだろうと思う。床に座って刺す刺繍は子供の目線でも安全に見学ができるし、電源が必要なものではないので、家のどこにいても刺繍ができるし、いつでも手を止めることができる。生活の一部となり、刺繍がとても身近にあるんだろうなーと、職人さんの仕事ぶりを見ながら思うことがある。

いつか発祥の地に行きたい。その気持ちは今でも強く、実現する日が楽しみです。

初めてこの技法に触れてから、実際に商品として作り始めるまでには9年ほどかかっている。工場に一人いる職人さんに全ての刺繍をお任せするのは不可能だったので、メインのブロックプリントにフォーカスして商品を作っていたけれど、2019年に新しい工場に出会ったことがきっかけでkapuwaに刺繍のシリーズが加わることになりました。

コルカタに行かずとも、コルカタの職人さんが沢山働いている刺繍の工場との出会い。初めてこの工場を訪問した時は感動で泣いてしまいそうだった。職人さんの目の前で何時間も座って、絵を書いて刺繍の色糸を職人さんに差し出してどんどん刺繍してもらう。なんという贅沢な私。職人さん独り占めです。よくやります(笑)

kapuwaで使っている刺繍のシリーズは全てこのアリ刺繍というインドの伝統技法を使用しています。
前置きがかなり長くなりましたが、技法の説明をしてみようと思います。

そもそも、アリ刺繍の「アリ」とは「フック」のヒンディー語。刺繍というと刺繍針に糸が通ったものを手作業で刺していくと想像すると思いますが、アリ刺繍は針ではなくて木製の持ち手に金属製のフックがついたカギ針のようなものを使用して刺繍していきます。右手は布の上でこのフックを持ち、左手は布の下から糸を補給していく。刺繍の種類はチェーンステッチになるので、ぱっと見すごいスピードで容易い感じで刺繍を進めていってるように見える。

しかし、布の下を見るとかなり衝撃が走ります。左手で糸を補給しながら上から降りてくるフックの糸をくるりと引っ掛けていくんです。なんとか伝えたくて動画を撮っていますが、なかなか伝わらない。文字だと尚更伝わらない。これは実際に見れる私の特権だと思ってしまいますが。本当にすごい技法です。見よう見マネでできるものではないです。

kapuwa_designer のinstagramで動画ご覧いただけます→コチラ

ミシン刺繍との違いは、ミシンの場合は生地の厚みに関わらず布をピーンと張って刺繍する必要があるので、紙を挟んだりします。その為、刺繍部分は固く光沢が出ます。刺繍した後に洗いをかけてこの紙を溶かすのですが、生地が薄かったりすると刺繍と生地の間にシワが出たり、布は柔らかいのに刺繍は固く、なんだかミスマッチな雰囲気になるんです。

その点、アリ刺繍は布の厚みに合わせて職人さんが、手作業で刺繍を柔らかく刺していくので、生地に合ったふんわりとした出来上がりになって、変な光沢は出ません。余計に刺繍を刺しすぎることもないので生地に穴が開いたりすることもないし、薄手の素材ととても相性がいいです。

18世紀にヨーロッパの特にフランスやイギリスでこの技法が流行し、多くのメゾンブランドなどが、このインド伝統のアリ刺繍で作品を作っていたそうです。そこから形がかわりヨーロッパの文化や風土に合わせた刺繍の技法へと変わったと言われています。昔フランスの蚤の市に行ってみたくて旅をした際も、カギ編みで作るレースやその上に施す繊細な刺繍をしているお店に行ったことがあり、今思うとその刺繍も発祥はインドだったのかなと思うと、全てはインドに繋がっている。そんな風に感じて、14年も前に何かわからないけど、とにかくインドに行くことだけは諦めずにやってきた自分の選択を褒めたくなりました。

ブロックプリントもとてもとても時間のかかる技法だけど、この刺繍という”糸で図案を描く”この作業は、見ていて本当に泣きながらダンニャワード(ヒンディー語でありがとう)って叫びたくなるほど、とにかく莫大な時間と技術が必要だった。

まず余計なところに刺繍しないように布一枚一枚にパターンの印をつける。これまたカフスとかポケットとか、ちょっとだけあそこにもここにも刺繍したくなっちゃったりするのですが、そのパーツ全てを布にチャコでマーキングし、その布を刺繍の台に手作業にて設置する。一枚一枚ですよ。これオーダーが100枚、200枚を超えることも多く、この作業を100回、200回と繰り返していく。

刺繍の図案を手作業にて転写して、どんどん刺繍を刺していく。刺繍が終わっても一枚一枚もう一度パターンを載せて布をカットして、手作業にてミシンで縫い合わせていく。

量産と言われる100枚ほどのオーダーの場合、通常の工場では100枚の布を重ねて、一気に切ったりするものだが、刺繍の場合は本当に一枚一枚が全て手作業。日本人の私はどうにかもっと効率のいい方法はないのかな?と考えてしまうけど、インド人によく言われるのは、インドは人口が多いから、職人は沢山いる。全てのことを便利にする必要はない、と。ただ目の前にある「守るべき素晴らしい技法」を崩すことなくオリジナルのまま今まで使い続けていけてるのは、そういうことなのだろうと思います。

効率化を考えたり、リスク回避を考えるとどうしても人口的な固くて冷たいものを取り入れていかなければいけなくなる。ずっと柔らかくて朗らかで穏やかでいるためのヒントがここにはある。そう思いました。

一枚の洋服から学ぶことがこんなにも沢山ある。人の生活や伝統技法。盛んにこの技法が使われ始めたと言われる16世紀のこと。着るという当たり前の行為からここまで興味が広がる、そんなものづくりができていることを、本当に嬉しく思います。

堅苦しいお話になりましたが、とにかく可愛いので見てほしいです♪
アリ刺繍ってミシン糸でもできるし、毛糸でもできるしスパンコール入れたりもできるんだけど、とにかく繊細で綺麗すぎて、手刺繍だということを言われないと気付かない方もいるかもしれない!!!だからちゃんと説明したくて、こんなに長々とブログを書いております。
私は家のクローゼットに各1でキープしておきたいくらい「ミュージアム級の可愛さ」だと言っています。
今回のアリ刺繍、名前はDANCE。生地とお花の色のコントラストがとっても可愛くて、お花がダンスしてるような陽気な柄となりました。

色はしっかりと秋色なのに、しかもkapuwaで黒地ってとっても珍しい。どうする?黒DANCEでシックに新しい着こなしに挑戦する?ブラウンDANCEで秋のベージュコーデを楽しむ?今年着たいこれからくるコートに合わせてもいいよねー。手持ちのブーツに合わせてもいいし。でもでも好きなものを先に決めてから足りないものを新調するのもいいですよね♪


○アリ刺繍DANCEワンピース○
アームホールが大きいので、ジャンスカみたいにインナーにボリューム袖のPOなどを重ねることもできるし、もう少し寒くなったらタートル合わせも可愛い。私みたいに高身長(167cm)だとちょうど膝下10センチくらいなのでブーツで合わせるか、フラットな靴の場合はもう一枚スカートをレイヤードして着てみようかな!とも思っています。シルエットがIラインなのでスッキリと縦のラインが強調されて冬でも着膨れしないで重ね着がたのしめますよ♪
↓詳細は下の画像をクリックして、オンラインショップへお越しくださいませ♪

 


○アリ刺繍DANCEブラウス○
襟ぐりにボリュームのあるブラウスって可愛いですよね。小さめの襟がカジュアルになりすぎず、襟ぐりのギャザーが袖まで全体をふんわりと見せてくれます。太って見えないかな?って思うかもしれませんが、綿100%の柔らかい少し薄手の素材なので、下に重ね着しても全然大丈夫!丈も長めなので、あえてボワっとふんわり着ても可愛いし、ハイウエストのパンツやスカートにインして袖だけのボリュームを強調させても可愛い。何よりもウエストに紐がついているので、インが苦手な方でもウエストを少しだけ紐で絞ってブラウジングするだけで、目線がかなり上に上がるのでスタイルアップが可能です。羽織にもなるし着こなし力抜群のブラウスですよ。


○アリ刺繍DANCEスカート○
形がものすごく綺麗なセミマーメイドなスカートなんですが、ヒップ下から裾に向かって綺麗に広がるようデザインされています。Aラインだと子供っぽくなるけど、この形なら靴がフラットでもヒールでもどちらの雰囲気にもマッチしそうです。ウエストベルトも太めなのでトップスをインして着る場合もホールド感がしっかりあって脚長効果抜群なんです。ウエストはぐるりとゴム上がりなので、腰あたりで着てロングスカートのように見せたりすることも可能です。ウエストの開きがないのでスポッと履きやすいのも便利ですよね♪


刺繍シリーズは本当に語りたいことが多くて、長々とお話させていただきました(^^)読んでいただきありがとうございます。また各店舗でも実際に試着して色を迷ったりもできますので、是非お立ち寄りくださいね♪お待ちしています。

———SHOP INFO———-
藤沢店
神奈川県藤沢市南藤沢21−1 小田急湘南ゲート/2階
Tel:0466-52-5494 OPEN: 10am-8pm

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室町店
東京都中央区日本橋室町1−5−5 コレド室町3/3階
Tel:03-6265-1140 OPEN: 11am-8pm

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川越店
埼玉県川越市脇田町105アトレマルヒロ/3階
Tel:080-5899-1304 OPEN: 10am-9pm


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◯新作のサンフラワーシリーズ♡

2022.04.22

こんにちは♩デザイナーのAIKOです♩やっと暖かい日が増えて、大好きな夏がくるーーー!
皆さんお元気ですか?私は2月から会社が新体制になり、たくさんの刺激をスタッフ達からもらっています。

原動力はなんと言っても人です。

インドとも、行けなくなって、しばらく経ちますがお互いにいつ行けるかな?いつ来れるの?などとお互いの国の情勢を確認しつつやりとりすることは毎日です。テレビ電話で話したり、たまに熱くなって語り合いすぎてしまうのは遠くにいても、いつでも2ヶ月毎にインドへ行っていたあの頃へタイムスリップできるからだと思うんです。

2週間自分がいなくても国内が回りそうとあらば、すぐにインドに行っていたあの頃。
あれもやりたい、これも作りたい、こんなこともしてみたい。工場と話していると、全部できるよ!今すぐやろうとなりますが、私の時間とキャパがなくて実現しなかったことも多々あり。時間を作ってしっかりコントロールすること。やる前に一度冷静に考えてみる。そんなことがとても大切だなぁと、この歳になってやっと痛感しています^^

一個一個確認しながら進んでいきますね♡
そしてそして、もうご覧いただきましたか?

待望のサンフラワーシリーズが届きました♩

実はこれ柄になったエピソードがあって。毎月描いている私の趣味にもなっている、ポストカード企画。時間ないーって言いながらiPadで手書きする時間が実は癖になっていて。1日遅れることもしばしばですが、テキスタイルのデザインではなく、何も制約のない何色でも使ってお絵描きができる時間を楽しんでいます。☺︎

皆んなも楽しみに……してくれているかな?数量限定で毎月、月初お店で3300円以上お買い上げの方へお配りしています。

今まで何枚と生み出してきただろう。この写真のポストカードはほんの一部なんだけど、この図案を書く中で、木版にしてみたいなと思う柄が多く出てきて、それを少しづつカプワのコレクションに落とし込んでいける。とても嬉しくて、ポストカードから始まった柄がテキスタイルになって、服になる。完成を私もワクワクと待っていました♩

その元になったポストカードの図案はこちらです。
ひまわりというにはちょっと大人なカラーリングですが、手書きのラインがとても気に入っていて、去年の夏、催事休憩中の銀座のスタバで(笑)無心でモーレツにダッシュで描き上げたあの日を思い出します^^
大体入稿のデットラインは24時。いつも20時頃から焦り出すことが多いですね。月末の(笑)

そんなこんなで、このラインだけをブロックに彫ってもらったものがこちら

細い線まで繊細に手彫りされた木版。もうこれ芸術品じゃないですか。これで作ったテキスタイルを着れるなんて。嬉しいですねーーーーーーー♩アートを着ている感覚です。私はいつも感動しちゃう。新しいシリーズが届くと、よく来たね。たくさんの職人さんやインドのスタッフに育ててもらって、海を渡ってよくぞ東京の事務所まで、お疲れ様ですと。頭で思い描いたものを半年後に着れる贅沢を噛み締めます。

全ての工程を手作業にて作る、オリジナルのテキスタイル。手書きにこだわり、手作業にこだわった渾身のサンフラワー柄達。各店ではどのように展開してくれているか、ご紹介しますね♡

1号店の藤沢・小田急湘南ゲート店
赤やピンクは今年のトレンドカラーなので、パッと目を惹きますね♡可愛い可愛い♡そろそろ藤沢も磯香りがする頃かなと思います☺︎

 

お次は昨年8月にオープンしたコレド室町店
ブルーを綺麗に大人な雰囲気にまとめています♩重厚感ある手作りの什器とスタッフHashimotoによる店舗グリーンがとても気持ちのいい店内なんですよ♡

 

最後は川越・アトレ丸広店
大きなタペストリーがド〜ンとお出迎えしてくれます。カプワでは一番の大型店になります☺︎


そしてそして、オンラインでも本日から販売が始まりました♩
遠くてお店には来れない><という方に朗報です。本日から5月8日までこちらの新作お買い上げの方、送料無料にてお届けできます。
※新作以外の品を一緒にご購入の場合で、合計金額が15,000円未満の場合は送料がかかってしまうそうです。ブラウス、スカートを単品でお求めの場合はご注意ください。

オンラインではとってもお得で可愛い母の日のハッピーボックスも販売しています^^スタッフが色を合わせて使う方をイメージしながら、大切に色柄を選んだとっても可愛いギフトボックスです。是非大切な方へのプレゼントに、ご検討くださいね♩詳細ページはこちらです


カプワが盛り上がる夏がそろそろきますねー薄着になって改めてカディの素材の良さを実感できる季節。サンフラワーもそんな手織りの生地を使用しております。

洗い上がりのカラッと乾く感じ。ふんわりと風に揺れる感じ。決して固くない、なのにカラッとしていてしなやかで体にふんわりとフィットする。肌と呼吸する素材と言われているカディを是非体感していただきたいです。

まだまだお伝えしたいことはたくさんですが、まずは新作の登場秘話(秘?)をお伝えしたくてー^^ブログを描いてみました。

商品の詳細はオンラインサイトにて。スタッフの着用画像などはインスタで是非お楽しみくださいませ♩

それではまたー♩

———SHOP INFO———-
藤沢店
神奈川県藤沢市南藤沢21−1 小田急湘南ゲート/2階
Tel:0466-52-5494 OPEN: 10am-8pm

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室町店
東京都中央区日本橋室町1−5−5 コレド室町3/3階
Tel:03-6265-1140 OPEN: 11am-8pm

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埼玉県川越市脇田町105アトレマルヒロ/2階
Tel:080-5899-1304 OPEN: 10am-9pm


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ARA-ARA-PROJECT

2022.02.10

kapuwaがインドでものづくりをスタートして16年目。
元々インドに惹かれたのは、なんでも便利に簡潔に、無駄を省く日本から、全く違うインドへ初めて足を踏み入れた2008年のこと。

それはそれは、ゆっくり歩くインド人。ジャイプールには電車も走っていないから(今も変わらずw)電車に間に合わないと激走する人もいなければ、リクシャーのおじさんによっては、走り出すまでに何十分もお話ししてから、なんてことも。

約束をしても、その通りに相手が来る事は少ないから、あらかじめそれでもいいようにスケッチブックや本を持参して待ち合わせる。じぶんだって、牛(神様)の群れに出くわして、30分通行止めなんて事もよくあった。

お祭りがあれば正味3日と構えていても前後3日も暗黙の了解で含まれてお休みになったりもする。
強制されて作らされるものが固く冷たい印象を持つというのも,この国で知った。

だからこそ作る職人は伸び伸びと、自然や文化と共にあれと。朗らかな人たちが集まる工場を選んだ。

あとはものづくりをする会社が絶対抱える共通の悩みではあるんだけど、不良品と呼ばれてしまう子の存在。
商品一つ一つが、子供のように可愛くて愛おしいけど、少し色が飛んでしまっていたり、手織りなのに生地不良と言われてしまった商品がアトリエに長く保管されていく現実。
私からすると、手織りだもん。伝統技法だもん。インドの工場で号泣するほど感動しながらものづくりを始め、この技法に出会えた事も工場とものづくりを続けてこれた事も、全て「ここ」でなければダメだったからだから。

なんとも心を痛めておりました。何も不良ではないのに。。。むしろ結び目をみて、ゆっくり織られた本当に手織された勲章のようにも見えるのに。手作りとか、温もり感じるものをいいという反面、それでも傷のあるものを避ける現実。

日本の品質を理解してもらおうと、インドに行く時はいつもこのアトリエから表舞台に出られない子を、たくさん持っていって商品会議をする。
でも結果は、手作業だもん。と、日々ハンドブリントをしてたくさんの商品を作ってくれている彼らを前にすると。そうだよね。私はここの彼らが作り出す、手作業独特のこの風合いが好きなんだもん。日本に寄せてなんて言えない。とその商品たちは全て持ち帰ってくる。

だけど、せっかく作ってくれるのだから、意識一つで変わることもあると、毎回話し合いをしてはいました。

でも、服作るって大変なんですよ。一枚だけならまだしも。数百枚数千枚と。それを生地の糸を撚るところからハンドメイドで作るものもある。時間がかかってるんですもの。せっかく作ってくれたんですもの。そもそも半年以上前に、手書きで柄を書いて、色を決めて、ブロックプリントされたらどんな感じになるかと思いを巡らせて、私自身が一番その出来上がりを楽しみにしている商品たち。最後の一枚を見送る時の感謝といったら。

ずっと私だけはそう思って、まぁ、君たちはずっとうちにいていいよ。いつか何かの時に数年前のコレクションたちをお披露目できる日がくるかもしれないからね。綺麗に売り切ることが会社として本当にベストなの?残ってしまったものを捨ててまで?

そんな疑問がずっとあって。

正直にスタッフにそれを話たところ。みんなでチェックしてみようと、各お店の店長たちに表舞台に出れなかった子たちを見てもらいました。

「アラアラ…ほんの少し染料が飛んでしまってるだけなのに・・・・」
「アラアラ…結び目気になるけど・・・・これ手織りの生地だもんなぁ」

私の思いに共感してくれたスタッフが、このアラアラと避けられてしまう子も本当に着る分には問題ない子ばかりだし、逆に私はこういう子を迎えたいですーーーと発言してくれました。

お店で展開してみませんか?

そんな意見から始まったこのプロジェクト。

インドのカディ職人が切れた糸を「アラアラ…」と結び直してまた織り進める、優しく穏やかな時間を想像して、

kapuwaでも商品検品中に「アラアラ…」と避けられてしまった子をアラアラさんと呼び、ARA-ARA-PROJECTという取り組みを始める事になりました。

商品の展開範囲は今まで大切に保管されてきたアラアラさんたち。レアアイテムや、人気の柄も多数あります。
それぞれ、店頭で店舗スタッフが丁寧にアラアラポイントを説明したポップがついて店頭に並びます。

せっかく作ってくれたんだもん。直せない事を知っているのに、工場に送り返すなんてできない。インドで責任持って作ってくれた、大切な、伝統技法をぎゅっと詰め込んだ作品たちを、私たちは日本で責任をもってお客様に届けたい。

全店舗の店長たちの熱い思いで、すぐに形になりました。
会社が長く抱えてきた、問題をこんなプラスのプロジェクトに変えてくれたみんなありがとう。

この思いに賛同してくれるお客様へ、少し前のコレクションの子もおりますが、ご自宅にお迎えいただける子を探しにきてくださいね。そのアラアラさんが、もしかしたら人の人生を変える一枚になるかもしれない。特別価格にてお待ちしております。

保管されてきた子たちが、綺麗にアイロンをかけてもらって、可愛い店内に並ぶ姿を想像するだけで、涙がでてしまう。

これからも、リスクだなんて思わずに、どんどん新しい技法へ挑戦したい。インドに行ってもっともっと伝統技法と言われるものに出会い、今ぐっとくる!ものを彼らと作り続けたい。

kapuwaがこれからも前向きにものづくりをしていけるための、kapuwaらしいサスティナブルなプロジェクトです。

 

ARA-ARA-PROJECTは藤沢店、室町店、川越店、大阪店、今年はオンラインでもご覧いただけます。
スタッフみんなの願いでもあるkapuwaのアラアラさんを是非見にいらしていただけたら嬉しいです。

———SHOP INFO———-
藤沢店
神奈川県藤沢市南藤沢21−1 小田急湘南ゲート/2階
Tel:0466-52-5494 OPEN: 10am-8pm

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室町店
東京都中央区日本橋室町1−5−5 コレド室町3/3階
Tel:03-6265-1140 OPEN: 11am-8pm

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川越店
埼玉県川越市脇田町105アトレマルヒロ/2階
Tel:080-5899-1304 OPEN: 10am-9pm

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大阪梅田店

大阪府大阪市北区梅田1−13−13
阪神梅田本店7階
OPEN/10:00~20:00
TEL/06-6345-0240

 

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お気に入りスポット(ジャイプール)

2021.01.15

インドの苦労話をする前に、インドの素敵なところを先にお伝えしておこうかなと、思います。

最初の頃はそれはそれは、お金もないので、安い宿を探し、お湯のシャワーが出るだけで、天国だと思っていた時代もありました。

が、ここ最近は心地のいい、心に栄養を与える意味でもインドに来れるようになっておりました。色んな意味で日本とインド。文化も価値観も全く違うので、毎回新鮮な驚きとハプニングと気付きがあるんです。そんなところが大好きなんですよね。

私が最近お気に入りで滞在しているのが上の写真左のゲストハウス。写っているのは共用部分ですが、ここで朝ごはんを食べながら、大きな窓から見えるグリーンを眺めたりしています♩そして永遠にチャイを飲む。

インドはどこでもクラクションの音がすごくてうるさい(基本急いでる人はくらいクションならし続けるのでw)のだけど、ここは大通りから少し入ったところにあるので、静かで、なんともハッピーな雰囲気。


初期の頃よく泊まっていたアルヤニワスというジャイプールのお気に入りのホテル♩リンク貼っておきますので是非HPも見てみてくださいね♩旅気分味わえるかも^^  HP
懐かしいなぁ。ここのフルーツサラダが大好きで、200円しないもんだから、毎日フルーツと、トーストとチャイとって、かなり健康的な朝を過ごしていました。従業員のみんなも本当に親切だし、お腹痛くて連絡した時も、夜中に車で病院まで連れて行ってくれたりします。欧米のお年寄りのお客さんが多くて、お昼くらいまでみんなのんびりしているから、そんな隣で日光浴しながら、絵を書いたり、企画をつめたりしていたなぁ。ここの客室のファブリックが全部ブロックプリントで可愛いいのでインド気分をたっぷり味わえます💚


 

ただホテルだと、掃除の時間などもあるので、なかなか仕事がしにくいという事で、こんな可愛いキッチンつきのアパートに暮らしていたこともありました♩

なんだろう。天井が高いのかなー。空間が広いのか。とても気持ちの良いところでした。しかし、一人だから寂しかったなーーー。こんなに可愛い内装なのに、シャワーのお湯が3分くらいしか出なくて、真冬だったので辛かった思い出が。。。。
毎回、色んなところに泊まりながら、そこでの出会いを楽しんだり、新しいインテリアに刺激を受けたり。滞在先もインド旅の重要なポイントの一つです^^
アパートだと、料理するために野菜をマーケットに買いに行きます。

野菜がとにかく新鮮で、安い。基本は1キロ単位でしか買えないので、100ルビー(¥170円くらい)で持ちきれない程買えます^^あー天国💚でも皆さん、英語は話せないローカルなマーケットなので、基本的には会話は成立しませんが、とてもフレンドリーだから安心して買い物できます。
そしてかなりツボにハマり、トマト兄さんと呼んでいた、仕事のできるトマト売りの彼。こんなに元気だとついついこちらも笑顔に^^沢山買いたくなるもんです。


インドにいると、高級なホテルもあるけれど、窓が開かなかったり。BARがあったりすると、夜な夜なすごい爆音でどんちゃん騒ぎだったりすることがあり、せっかくインドにきたのだから、地に足の着くホテルが私はおすすめです^^

 


さて、ここはブルートカイという、かなり希少な、ジャイプールで本当に美味しいコーヒーが飲める場所。普通インドでコーヒー頼むと、健康に悪そうなほどドロドロした濃いコーヒーか、麦茶のように薄いインスタントのコーヒーが主流でしたので^^初めてここに来たときは感動して、ありがとう!!って叫びたくなった。
しかもMacBook持ち込んで仕事しているインドの若者たちがいて、日本のスタバみたいだなーと、安心するのでした^^  HPもお洒落!!見てみてくださいね コチラ


他にもカフェは幾つかお気に入りがありますが、贅沢するならおすすめなのが

 

じゃーーーーん♩

何これーーー!!!!!!何このプリンセスのような体験はーーーーー。女子ならは一度は是非ここでランチしたいと思いませんかー?このお部屋はピンクだけど、グリーンの部屋やもっとシックなインテリアの場所などもあり、従業員の方もこんな感じなので、徹底されていて、贅沢気分が味わえます^^お値段は日本でもそんな出しません!というくらいにはなりますが^^体験としてはおすすめです^^


あとはカジュアルに女子会で夜飲みに行くならばこんな場所もありますよーーーーーー♩

見渡す限り、白壁なんてない!!そんな異空間のBAR。唯一チキンも食べれて、ビールも飲める憩の場💚どこをみても可愛くて、それでいて大人っぽい。さっきのピンクのカフェも、ここのブルーも。この色彩感覚はとても勉強になるんです。

カラフルなインド。本当は砂漠の近くに位置するこのジャイプールはとても砂埃っぽいイメージの場所、乾いた大地にこのキラキラしたインテリアは、今でもマハラジャが住むジャイプールだからこそかもしれません。王様が住んでる宮殿が一部公開されていて、入れるんですが、逆にいうと、自分の家の敷地が観光地って。。。。どんな感覚なんでしょうwカースト制度にも触れたいけれど、ひとまず、ものすんごいゴージャスな暮らしをしている人が一定数いるのもインドです。そして外国人だということだけで、自国ではこんなに庶民的な私が、そんなゴージャスをプチ体験できるのもインドならではなのです。

これらのカフェやバーも元々は本当に王様が住んでいた場所をホテルに改装しているのだとか。別宅?って言っていたかな。。。別宅って、、、、。
なので規模感が本物なんですよ。

贅沢な時間💚
ここ最近はジャイプールにいても、行きたいところとかみたいものが多すぎて毎日大忙し。買い物も楽しい、友達も楽しい、工場なんて最高潮に楽しい。見るもの全てがカラフルなインド。好きになる気持ちご理解いただけましたでしょうか^^
乾いた空の青さとか、サリーの眩しいほどの綺麗さとか、街歩きしながらワクワクが止まりません。

 

だけどだけど、もっともっと伝えたい魅力があるので、少しづつお伝えして行きますね^^只今image bookvol.4を作成中です。そちらではガンジス川の事とか、死生観について少しだけ話そうかなと思っております。暗いかな?大丈夫かな?でもとても大切なインドの事。いつか神様の事も書きたいな。

色々と思いはありますが、お楽しみにーーーーー♩

—————SHOP INFO—————
・直営店 (神奈川) 小田急湘南ゲート2階

・POP UP SHOP(東京) 吉祥寺パルコ2階

・アトリエショップ(東京)1月は毎週土曜にOPENします♩

 

ショップでは、スタッフ一同コロナ感染症対策を徹底して、お客様のお越しをお待ちしています^^不安がある方はインスタのDMでも、HPの問合せ欄からでもどしどしご相談くださいね♩色で悩んでるんだけど、どうしようとか、おすすめありますか
?などなど。新しい繋がり方をブランド側も模索しています^^

カラフルな色柄をまとって、少しでもね、明るい気持ちになれたら。はたまたその服たちが作られた街のこと、人のこと。一枚の服から感じてもらえたら嬉しいです。

 

それでは!!

 

happy new year

2021.01.05

あっという間に2021年に。

昨年はコロナウイルスという、初めて聞いたのに、一年間で一番口にした言葉だったんじゃないかってくらい。生活様式が変わり、人との接し方が変わり、そして風の時代が始まった。

 

なんだか色んなことがあったけど、きっと遠い未来に2020年について語られる事があるとすると、一瞬のことだったかのような言葉で締め括られるだろう。

 

あまり変化を求めないわたしも流石に色々と考えました。

だけれども、こんな時代だからこそできることを真摯に実直にやって行こう。そういう結論になりました。

 

そんなことを考える中で、ブランドについても再度考えました。色々と大変な中、ものを作り続ける自分。なぜ?何度も自分に問いてみた。

 

そこには、インドの工場とのただ純粋に目の前のものづくりを楽しみたいっていう思いが、お互いに一致してること。

作り手の職人の顔も、日本で働くスタッフの顔も、ファンのお客さんの顔もたくさん浮かぶから、この三つの自分の周りにいる人たちを笑顔にできるなら、もっともっと可愛いものを。もっともっと絶対無駄のないものを生み出そう。そういう考えに落ち着いたのでした。

もっと生活に寄り添ったりね。そんなものづくりを考えています。

 

しかしながらインドに行けずに一年が経ちました。

 

2008年に初めてインドを訪れてから、こんな理由でインドに通えなくなる日が来るなんて。
もっと別の理由は想像していたけど、予想外すぎました。自由にインド行きのチケットを予約して、デリーからジャイプールまでの7時間乗るタクシーを手配して。現地工場からの帰り道に、ふと見た観光地に翌日から移動して見たり。

なんだか夢のような日々でした。

 

そのおかげで一年行けなくても、記憶にあるインドでの体験を思い出したり、心の中にあるインドで見て、聞いて、感動した気持ちは全く色あせることがないから。10年以上の蓄積。続けてきた事に今の自分が大いに助けられている。
何も無駄な事はなかったんだなぁと思えます。

 

自由で、愛に溢れたインド。

全ての色や匂い、出会いに感動していた初期の頃。騙されまくって、泣きながら「インドなんて大っ嫌いだ!」とバスの中で叫んだこともあったな。

 

そんなサバイバルがあっても通い続けた意味。服を作ることだけじゃなくて、そこに身を置くために、色々と自分も変化してきた。

言葉を勉強して、得意ではない頼み事をしまくって、工場を探したあの頃。

インドに寄り添ったものづくりをするために、色々と柔軟に変化した。

そんなことを思ったら、kapuwaがどうやって始まったか。最初の頃のわたしのダメダメっぷりもふくめ、振り返りなら、過去に感謝しながら、今できない旅をしているかの様な空気感をしばらく伝えていける様、2021年の目標は「しっかりとブログを描く」ということに致します。

 

ブログも描きたいし
絵ももっと描きたい

 

彩ることを過去から再度学んで、2021年にパワーアップしてやろうと思ってます。

長くなると思いますが、是非楽しみにしていてくださいね。

たくさん泣いたし、たくさん感動したし、たくさん感謝したインド。
私なんて何も才能はないけれど、なんだか情熱だけはすごかったなぁ。

またインドにいける様になることを願って、わたしの大好きなインドの歩き方なんかもご紹介しますね♩

 

お楽しみに。

 

最後になりますが、2021年どんな一年になるか分かりませんが、常に心穏やかに、暖かく、蓋をせぬ様、皆で助けあい、一年が終わる頃に、また今年もいい一年だったねって言える、そんな一年になる様心から祈っています。

悲しむ人や動物がいない未来に。

 

Designer:AIKO

始めての投稿♩

2020.06.07

こんにちは☺️kapuwaデザイナーのAIKOです。

自粛期間中にインドのことを思ってまとめたカディについて書いたimage book2。見ていただけた方も多いかなと思います。

思い出せば思い出すほど愛着が深まり、みんなの事を思い、心だけインドへとタイムスリップしていました。

 

hpが新しくなったら、文章を紡ごうと思っていて、インドで体験した事とか面白い風景とかここで書いて行こうと思っています。私はインドの事を、店頭からは旬なお知らせなどを交えて、更新していきますのでお楽しみに♩

私が初めてインドに行ったのは2008年の10月でした。一年準備して「インド=危険」だと思っていたあの頃が懐かしいです。ある意味人生がドカンと変わる出会いがそこでたくさんあったのですが。

何度悩んで、何度インド人なんか大っ嫌いだなんて思っただろう。うまく行かないことばかりで、「今回でインドは最後にしよう。」そんな思いでインドに行ったこともありました。結果辛い辛いなどと言いながら、心がワクワクする方へ無心で動いていた結果、12年経った今でもまだインドへの愛がとまらない。まだまだ可能性に限界はなく、知れば知るほどもっと知りたくなる。

もともと写真が好きだった私。インドの空にとても魅了された事を覚えています。

あの頃はmixiにインド旅行記を書いていたし、スマホではないから今みたいに気軽に発信なんかしていなかったけど、残ってる写真を見返すとたくさんのエピソードが蘇ってきました。

mixiを更新するために、ネットカフェに1時間並んで入ったものの、キーボードが汚過ぎて、除菌シートを大量に使用し掃除してから使っていたし、一人20分までとかだったきがしますw

便利になった今思うのは、不便だったからこそ、まだ25歳だった私は、生き方を模索している時期でもあり、どっぷりインドに浸ることができて、遠回りに遠回りを重ねてきたかも知れないけど、だからこそ今でもここに通い、彼らとものづくりを続けてこれているんだろうなと今だからこそ思えます。まだまだ勉強中ではありますが、最初は怖くて Hello も言えないほど英語は一言も話せなかった。感謝の気持ちを「ありがとう」だけではなくもっと伝えたいと思い、半年間猛勉強した事も懐かしく、聞き取れる様になってインド歩きがどんどん楽しくなって行った事を思い出しました。

 

そんな12年。半分くらいは暗黒の時代だったのですが、楽しくデザインしてきた結果が今で、これからも楽しく旅する結果がブランドの未来を作るのだと思うと、私自身楽しみで仕方ありません。